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美濃の山々や豊かな森を潤す慈雨はやがて幾筋もの清らかな流れとなって板取川にそそぐ。かみのつくりびとたちはその水を使い、楮や三椏など木の白皮を原料に美濃和紙を漉く。うれしい時も哀しい時もおのれと真摯に向き合い、紙と対話しながら脈々と地道な営みを繰り返し、1300年にわたって伝統の技と製法を今に伝えてきた。整然と均一な厚さの紙が漉けるようになるまでにどれほどの歳月と経験を要することだろう。
白くしなやかで強靭な美濃和紙はかみのつくりびとたちの精神そのもの。さりげなさと温かみのある風合いで人々の心を優しく包み込む。そのすばらしさが認められ、本美濃紙は1969年に国の重要無形文化財に指定、日本の手漉和紙技術として2014年にユネスコの無形文化遺産に登録された。世界中の美術館や博物館で文化財や絵画などの修復に使われている。
時代を越えて、世界で愛される紙を漉いているという誇りを胸に、かみのつくりびとたちは今日も美濃和紙を漉く。
四月、美濃のまちは本格的な春の訪れを告げる「美濃まつり」にわき立つ。和紙でできた約300本のシナイを飾り付けた花みこしがうだつの上がるまちなみを練り歩き、市内を桜色に染め上げる。和紙のまち美濃ならではの光景だ。
1300年以上の歴史を有する美濃和紙は、清流と豊富な地下水、良質の楮に恵まれた美濃の地で花開いた。中世には大矢田で紙市が開かれるなど流通の中心地として隆盛を極め、近世には徳川幕府御用達の高級障子紙を産出する地として広く知られるようになった。今に残る美濃判という規格はこの時代に生まれたものだ。
また長良川の水運を利用して岐阜に運ばれた美濃和紙は、提灯や和傘、うちわに使用されるなど岐阜の地場産業を支えた。美濃和紙は日本人の暮らしに深く浸透し、文化を育んできたのである。
美濃和紙という太い幹から生まれる文化をこれからもかみのつくりびとが支えていく。
〒501-3788岐阜県美濃市蕨生1851-3
(美濃和紙の里会館内)
TEL 0575-37-4711 FAX 0575-37-4712
1851-3 Warabi, Mino-city, Gifu-pref, 501-3788, JAPAN TEL +81-575-37-4711
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