市原 俊美

幼い頃から家業である紙漉き業の仕事を間近で見てきた。市職員として和紙に関する仕事にも関わったのち、定年退職を機に「家業の美術工芸紙を継承したい」と市原団若工房の再興を決意。使われることの少なかった自宅の工房に、もう一度命を吹き込んだ。

先代である市原団若氏が得意としてきたのは、紅葉や笹が入った美術工芸紙や、昔ながらの製法で漉く落水紙。落水紙は、漉いたばかりの紙に型を置き、シャワー状に水を落として模様を創り出すもので、機械漉きでは出せない有機的な風合いが美しい。井戸水を汲み上げてタンクに貯め、その水圧を利用して水の勢いをつける。「水の落ち具合によって違う仕上がりになる。二枚と同じものはできないし、水のコントロールも難しい。まだまだ修行の毎日です」。麻の葉や市松といった日本の伝統柄のほか、真鍮を使って自作した渦巻き模様の型も活躍している。

途絶えかけた工房に、再び明るい光が入った。透き通った水が漉いたばかりの紙に落ちるあの音が、集落に響いている。

岐阜県美濃市生まれ。1959年に両親が「市原団若工房」 として祖父の工房から独立。紙漉き業の家に生まれ育つ。市職員として美濃和紙の里会館の立ち上げ時に携 わるなど、美濃和紙に関連する仕事にも従事。2018年の定年退職を機に、休業していた自宅工房を再開、家業である美術工芸紙を継承。

紅葉入り和紙

サイズ:60 × 93cm

原材料:外国産楮

Washi with momizi leaves

Size: 60 × 93 cm

Materials: Imported mulberry

笹入り和紙

サイズ:60 × 93cm

原材料:外国産楮

Washi with Bamboo

Size: 60 × 93 cm

Materials: Imported mulberry

落水紙 七宝

サイズ:60 × 93cm

原材料:外国産楮

Shippo Rakusui

Size: 60 × 93 cm

Materials: 100% imported mulberry

落水紙 市松

サイズ:60 × 93cm

原材料:外国産楮

Checkered Rakusui

Size: 60 × 93 cm

Materials: 100% imported mulberry