山田 和香奈


Minotake Kamikoubo 美濃竹紙工房

ずっと漉いていきたい。世界に必要とされるこの紙を。

学生時代から手仕事に興味を持ち、日々の暮らしと仕事が分かちがたく結びついている紙漉き業に惹かれた。美濃に移住したのはかつて和紙作りを学んだ新潟県門出(かどいで)で出合った知人から、「美濃で一緒に紙漉きをしないか」と誘われたからだった。

「美濃竹紙工房」に来て5年。表装の肌裏打ちや文化財修復用の薄美濃紙や美濃楮紙などを漉く。硬い木の皮から和紙ができる驚き、自然の恵みと人間の知恵が相まって大変な労力の末に生まれる和紙の美しさが山田さんを魅了する。

結婚後、一児の母となり、しばらく紙漉き業から遠ざかっていたが、慣れた手つきで準備を始めるその姿に迷いはない。

子育てや家事との両立は大変なこともあるが、同工房の鈴木豊美氏の存在が心の支えとなっている。「学んだことを生かして、将来は本美濃紙を漉けるようになりたい、その魅力をもっと多くの人に伝えたい。

世界に必要とされるこの紙を、美濃から責任を持って出していきたいです」と力強く語った。

プロフィール


神奈川県足柄上郡山北町生まれ。2002年越後門出和紙 の小林康生氏に入門、楮の栽培から紙漉きまでを学ぶ。 2010年美濃市へ移住。「保木工房」スタッフとして従事。 2015年より「美濃竹紙工房」の鈴木豊美氏に師事。「本美濃紙保存会」研修生。